このプロジェクトは偶然の産物であった。当時イリノイ大学の博士課程の学生であった鄭炳浩が資料調査のため北海道を訪れたさい、殿平善彦の多度志幼稚園に興味をもち、殿平に保育園を見たいと申し出た。一乗寺に滞在中の一か月間、二人は毎晩ブランデーを傾けながら一晩も欠かさず飲み、語り続けた。
殿平は1976年から、多度志から60キロメートル遡った山中の朱鞠内で、戦時下に強制連行され、あるいは強制労働の末犠牲になった朝鮮人や、日本人たこ部屋労働者の遺骨発掘を続けていた。1980年から83年までの4年間に16体の遺骨を熊笹の下から発掘し、近くのお寺に安置した。だが遺骨はまだ残っている。「遺骨は残っているはずだ。発掘を再開したい。協力しないか」という殿平に、炳浩は「私は近く、韓国に帰りますが、私が大学の教師になったら、必ず同僚や学生を連れて発掘に来ます。それまで待ってください」と言った。
1997年、この約束は果たされ、10日間に及ぶ共同ワークショップが開催された。
その後、市民の手で遺骨返還をしようという計画が立てられ、遺骨115体を韓国に返還する旅が始まった。このドキュメンタリー映画は、公的な政治から自立して、自らの意思で関係を育て、和解と平和を求める運動を続けてきた市民が、市民の意思で国境を越え死者を運んだ記録である。 |
|
【日時】 |
2017年10月20日(金) 18:00~20:00 |
|
【場所】 |
東京大学駒場キャンパス・18号館4階 コラボレーションルーム2
アクセスはこちら 18号館地図はこちら |
|
【主催】 |
科研費新学術領域研究「市民による歴史問題の和解をめぐる活動とその可能性についての研究」+東京大学韓国学研究センター |
|
【手続き】 |
無料
ただし会場が狭いため、参加ご希望の方は事前にご連絡ください。
連絡先 [email protected](山本) |
|